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職場でのADHDの方への接し方と対応法

2020-12-04

「業務がなかなかスムーズに進まない」。

職場にADHDの方がいますか?

職場でADHDの方に対しどのような接し方、対応をしたら良いか戸惑われるかも知れません。

この記事では、職場でADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder 注意欠如・多動症)の方と接する点で周囲の人たちがどのように接して行ったら良いのかについて、ADHDの特性と照らし合わせながら紹介していきます。

 

目次

職場でのADHDの方の特徴

  • 記憶や注意を維持し続けることが苦手。
  • 口頭で受けた指示を忘れやすい。
  • 業務の抜け落ちや慣れた作業においてもケアレスミスが多い。
  • 指示を取り違えたり指示を覚えることが不得意。
  • マルチタスクが難しく、優先順位をつけられない。
  • 自分の興味がある分野については集中してのめり込む。
  • タスクをギリギリまで先延ばしにし、期限を守れないことが度々ある。
  • 会議においても空気を読めず、会議とは関係のない思いついたアイデアなどを発言してしまうことがある。
  • 時間や約束が守れず、遅刻が多い。
  • 相手の気持ちをくんだ行動や理解が苦手。
  • 光や音などの周りの環境に過敏に反応しやすい。

ADHDには「不注意性」「多動性・衝動性」の特性があります。

そのなかでも不注意性の傾向が強い人、多動性・衝動性の傾向が強い人、すべての傾向を持ち合わせている人など、症状や特徴は人それぞれです。

多かれ少なかれ、誰でもこうした傾向はあるものですが、ADHDの場合は、年齢に不釣り合いな、また度の過ぎた、不注意さや衝動性・多動性があり、日常活動や社会生活に支障を来す状態です。

職場の周囲の人がADHDの方に対する対応法

「記憶や注意の維持の難しさ」といった特性を示す場合は・・・
休憩を挟む。

長時間の単調な作業や、デスクワーク、会議などは注意が散漫し、集中力が続かないという特性があります。

そのため、時間を区切ったり、休憩を挟むなど、また合間に体を動かす業務を組み込むといった工夫ができます。

「口頭で受けた指示を忘れやすい」といった特性を示す場合は・・・
指示を「見える化」する

指示を「見える化」する

ワーキングメモリの容量が小さいため、指示を口頭で伝えただけでは忘れてしまうことが多いので、その場でメモするよう指導することができます。

また、あらかじめ指示事項などを紙に書いて渡したり、業務のやりとりをメールでする、またホワイトボードに記載するなどして視覚でも確認できるようにする事は有効な手段です。

「業務の抜け落ちや慣れた作業においてもケアレスミスが多い」といった特性を示す場合は・・・
ダブルチェックの体制を作る

ダブルチェックの体制を作る

簡単なミスや慣れている作業でもミスを繰り返します。

ですから、ダブルチェックの体制を整えたり、本人にも確認させるようにします。

また、常にメモができるようにメモ帳などを持ち歩く事を習慣付けさせ、メモで確認させることにより、作業の抜け落ちや、ケアレスミスを軽減させます。

「指示を取り違えたり指示を覚えることが不得意」といった特性を示す場合は・・・
独自のマニュアルを作成させる

独自のマニュアルを作成させる

ADHDは長文文字が苦手という方が多いです。

ですから、その方独自の理解できるマニュアルを作成してもらいましょう。

図やイメージなどを加えることにより、視覚的に手順を追えるよう工夫することにより、今自分がするべきことが何か明確になります。

業務内容をマニュアル化させることにより、指示を取り違えたりすることなく、スムーズに業務にとりかかりやすくなります。

「マルチタスクが難しく優先順位をつけられない」といった特性を示す場合は・・・
指示は一度にひとつずつ具体的に出す。

指示は一度にひとつずつ具体的に出す

ADHDの特性として、優先順位をつけることが苦手ということがあります。

そのため、複数の指示やタスクをを一気に受けたり、すると混乱しやすくなります。

タスクをひとつ終了してから次の指示を出すなど、指示はわかりやすく一つずつ出すことができます。

また、複数出さなければならない時は、タスクの優先順位をあらかじめ付けてから渡すことにより、本人も理解しやすいものとなります。

また、「適当に」とか「だいたい」「おおよそ」などといった曖昧な表現は、理解しにくいため具体的な数字で表すなど明確に出すことができます。

「自分の興味がある分野については集中してのめり込む」といった特性を示す場合は・・・
休憩時間をしっかり取らせる

休憩時間をしっかり取らせる

ADHDはほとんどの場合が、注意散漫となり集中することがが難しいですが、自分の興味のある分野に対しては、没頭してのめり込むという特性があります。

そのため、興味がある分野での仕事をしている場合、周りが意識して声かけをしないとずっと仕事をし続けてしまう場合があります。

職場でできる配慮としては、休憩時間には声をかけて休憩を促すことができます。

そのまま作業をし続けると、やがて集中力が途切れ、逆にミスが多発してしまうことになります。

ミスをしてしまったことで緊張と不安がさらに高まり、余計にミスを頻発するという悪循環になりがちなので、一定の時間になったら休憩するなどのルールを取り入れることもできます。

「タスクをギリギリまで先延ばしにし、期限を守れないことが度々ある」といった特性を示す時は・・・
中間チェックを行い、期限を具体的に明示する

得意なことはすぐ終わらせることができますが、苦手なことを先延ばしにする傾向があります。

そのため、スケジュールや期限を守れなかったりします。

ですから、指示する側としては、あらかじめそのような傾向を読み取り、計算に入れた期限を伝えることができます。

スケジュール表を作成し、目に見える所にはり、中間で仕事の進捗状況などチェックし、確認することができます。

また、「今日中に提出してください」ではなく「今日の○時までに提出してください」など明確に伝えます。

「会議においても空気を読めず、会議とは関係のない思いついたアイデアなどを発言してしまうことがある」といった特性を示す場合は・・・
発言の前に一呼吸おかせる

ADHDの衝動性という特性から、場の空気を読めず、議題と関係がなくても思いついたことを発言してしまうことがあります。

途中で発言したくなった場合は、すぐ口に出すのではなく一呼吸おくことを心がけさせます。

周りから浮かない工夫をあらかじめ考えておきましょう。

「時間や約束が守れず、遅刻が多い」といった特性を示す場合は・・・
スマホのカレンダー機能、リマインダーやアラーム機能を活用するよう提言する

スマホのカレンダー機能、リマインダーやアラーム機能を活用するよう提言する

ADHDであろうが、そうでなくても就業規則というものは守らなければなりません。

ですから、ADHDゆえに時間を守ることが難しいという特性があるならば、アラーム機能やリマインダーなどを活用し、余裕を持ってその時間にのぞめるよう設定時間などを工夫できるかもしれません。



「相手の気持ちをくんだ行動や理解が苦手」といった特性を示す場合は・・・
相手の話を聞くよう促す

ADHDの衝動性から、人の話を聞くより、自分が発言してしまうといったことがあります。

まず、相手の話を聞くように努めさせましょう。

コミュニケーションのトラブルを避けるためにも、話している人の顔を見ること、復唱したりうなずきながら聞くなどマナーを意識して身につけるよう促すことは大切なことです。

また、気持ちの良いあいさつ、会話が適切にできるようになるならば、職場においての好印象を得ることができるかもしれません。



「光や音などの周りの環境に過敏に反応しやすい」といった特性を示す場合は・・・
環境を整える

感覚の過敏という特性があり、光や音に過敏に反応しやすいかもしれません。

そのような時は、照明の調整をしてあげたり、人の動きが気になるようであればパーテーションを用意するなど、業務に集中しやすい環境を整えてあげることができます。

職場の周囲の人がADHDに対する接し方 注意点

ADHDの方は、子供の頃から特性ゆえに失敗し叱られることが多く、自分に対するネガティヴな印象を持ち、自己肯定感が低くなりがちです。

大人になり、社会に出て職場でミスを厳しくとがめられ、叱責されると、抑うつ症状やパニック障害といった二次障害を引き起こしかねません。

やる気のなさや怠けているのではないという事を周囲も理解しておくことは大切です。

なぜなら、ADHDの特性は、脳の障害からきているため本人の努力だけではどうにもならず、コントロールできないからです。

また、「ADHDだからこういうことはできるはず」とか「多分、こういうことはできない」など決め付けることは避けなければなりません。

共通した特性はあるものの、一人一人違っているため、よく話し合ったり、観察することにより、何が個人にとって適正か見極め、業務を指示することができます。

「ADHDっぽいから」と言って決めつけることも避けなければなりません。

判定は専門的な知識を持った精神科医によるものだからです。

ですから、支援者として「ADHDだからサポートする」というのではなく、同僚、上司として「業務上、本人や周囲が困っているのでスムーズに業務を行うためにサポートする」といったスタンスが望ましいでしょう。

職場で周囲の人がADHDの方に接する時 まとめ

ADHDの特性は脳の障害から来るため、本人の努力だけではどうにもならず、コントロールできないということが実情です。

そのため、どうしても周囲のフォローが必要になってきます。

時として、ADHDの方と仕事上接する同僚たちが、ストレスや不満を感じることがあるかもしれません。

よくコミュニケーションをとることや、周囲もADHDの特性に対する正しい知識と理解がストレス軽減に役立つかもしれません。

また、周囲に対するねぎらいの言葉などかけることにより、取り巻く周囲の職員に対するケアもできることでしょう。

ADHDの方も共に働く周囲の人たちも居心地の良い環境作るができると良いですね。


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