「なんでADHDの方はやる気がなく、先延ばしにしてしまうのだろう」。
そう思われることはありますか?
実はそれには理由があります。
この記事では、ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder 注意欠如・多動症)の方に見られる、一見、無気力に見える理由について解説していきます。
目次
ADHDの特性とは

まず、ADHDの特性について知っておく必要があります。
[不注意優勢型]
- 忘れ物や失くし物が多い
- 話しかけても聞いていないようにみえる
- 約束などを忘れてしまう
- 落ち着きがなく、すぐに気が散ってしまう
- 細かいことを見過ごしてしまう(ケアレスミスが多い)
- 集中力が続かず、課題や遊びなどを途中でやめてしまう
- 注意を持続することが難しいため、物事をやり遂げることができない
- 順序立てることや整理整頓ができない
- コツコツやること(勉強など)を避けたり、いやいや行う
- 授業中立ち歩く、または途中でどこかに行ってしまう
- ルールを守ることが難しい
[多動性・衝動性優勢型]
- 貧乏ゆすりなど絶えず手足をそわそわ動かしている
- 席についていられない
- じっとしていられない
- 静かにできない
- 不適切な状況で急に走り出す
- おしゃべりが過ぎる
- 質問が終わる前に答えてしまう
- 順番を待つことが難しく、抜かしてしまう
- 他人のしていることをさえぎってしまう
ADHD 無気力になる理由

脳機能のアンバランスのため
ADHDの方は、前頭葉の血流が少ないと言われています。
そのため、やる気ホルモンである、神経伝達物質のノルアドレナリン、ドーパミンという物質が不足し、機能が低下しているため、やる気スイッチがオンになりにくいと考えられています。
ADHDの特性が起因する
不注意優勢型の特性として「集中力が続かず、課題などを途中でやめてしまう」「落ち着きがなく、すぐに気が散ってしまう」「注意を持続することが難しいため、物事をやり遂げることができない」「順序立てることや整理整頓ができない」「コツコツやることを避けたり、いやいや行う」といった特性があります。
しかし、興味のあることに対しては、周囲が驚くほどの集中力を発揮します。
こうした特性のため、周囲からすると「やればできるのにやろうとしていないだけ」「怠けている」「無気力」という姿に捉えられてしまうかもしれません。
しかし、実際は怠けているのではなく、ADHDの特性ゆえに実行機能が低下しており、自分が苦手な作業など目の前にすると、なかなか実行に移せない状態になっているのです。
思考がまとまらない
何かを考えるときに考えがまとまらず、まるで脳内にモヤがかかったような感覚(ブレイン・フォグ)を感じる方もいます。
そのため、頭がぼーっとし、物事をクリアに考えることが難しく、周りで何が起きているか把握するまで時間がかかってしまう場合があります。
そのようなとき、「だらだらしている」「なぜ始められないのか」などといった言葉や、集中する事を強いられると、よけい疲弊してしまうことになります。
報われなさ
「遅刻をしない」「約束を忘れずに行う」「物事を最後までやり遂げる」「スケジュールの締め切りまで提出すること」などADHDの方にとっては、並々ならぬ努力を要することです。
しかし、たとえADHDの方が努力してそうした問題をクリアしたとしても、周囲からすれば「できて当たり前のこと」と捉えがちで、ようやく一般レベルまでできるようになったと安堵し、取り立てて触れることでもない、と思います。
しかし、ADHDの方からすれば、自分の努力が報われないと感じ、「結局、一生懸命やったけどやっぱりダメなんだ」。とガッカリし無気力を生んでしまいます。
ADHD 無気力に対する周りの配慮

ADHDは、一般的に「だれでも努力すればできそうなこと」が実は難しい障害です。
ですからそれができていないと、「怠けている」、「無気力だ」などと見られがちになります。
そのため周囲から、できていない点を咎められ、厳しく叱責されたり、軽蔑されたりすることが多くなり、本人は自信を失い、抑うつ症状やパニック障害など二次障害を引き起こしかねません。
障害に対する無理解や誤解から、自尊心を傷つけるような言葉かけを続けると、無気力などの特性がさらに悪化し、深刻化する可能性があります。
周囲から見れば、焦ったく感じ、時にはそうした状況を目にすることにより、ストレスを感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、大切なことは、周囲のADHDに対する正しい情報に基づく理解、思いやりのある接し方が必要です。
本人もそうした特性から悩まされ苦しんでいる事、本人自身からもたらされるのではなく、ADHDという特性から来るものである事を認識しておくことは大切な事です。
もちろん、自己理解も重要で、ADHDの特性のうち自分はどの部分が特に表れているのか、理解しておくなら、過剰に自分を無理強いしたり、なぜできないか自分を責めストレスを溜めるといったことも避けられます。
ADHD無気力 まとめ
ADHDは目に見えない障害のため、「本人の問題」「怠けている」「だらだらしてやろうとしない」など誤解されやすいところがあります。
そのため、そうした誤解から生じる言葉によって、ADHDの方は傷つき苦しみを感じています。
まだまだADHDに対する正しい理解が世の中に浸透していないことも事実です。
ADHDの方に対する正しい理解と思いやりを心がけていきたいものです。
また、ADHDの方もそうした特性を理解しつつ、どのように工夫していくか、コーピングしていく術も身につけていきたいものですね。
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