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大人のADHD その特性と対処法とは

2020-12-01

近年では、大人の方でADHD (Attenuation Deficit Hyperactivity Disorder 注意欠如・多動症)による生きずらさ、苦しさを経験されている方も多くいらっしゃいます。

この記事では、大人のADHDとはどのような特性があるのか、また、どのように対処していったら良いのかについて書いていきます。

 

 

目次

大人のADHD いつから

社会に出て、仕事をし始めてから自分がADHDではないかと気づくケースがあります。

これは、大人になって突然ADHDを発症したということでしょうか?

そうではなく、ADHDは脳機能の障害のため、先天的、生まれつきのものです。

ですから、ADHDの特徴は以前からあったものの、子供の頃は親や教師に守られ、能力的な負担、個人にかかる責任も限られていたために、それほど大きな障害と捉えずにいたのかもしれません。

しかし、大人になり社会に出ると、一個人としての対応が求められます。

不注意によるミスで会社に損害を出してしまったり、衝動的な言動をしてしまい上司に注意されるなどが度々起こり、その結果、周囲との違いを指摘されたり、自分でも意識するようになったとも考えられます。

一方、子供の頃からADHDの特性に悩まされ、成長とともに少しづつ自分なりの工夫を身につけながら、対処方法を模索して大人になっている方もおられます。

大人のADHD 特性

[不注意]

  • 興味があることには没頭できても、気が乗らないことには集中力が続かない。
  • ケアレスミスや忘れ物・なくし物が多い。予定や約束をすぐに忘れてしまう。
  • 気が散りやすく、用事をしていても何かに気を取られて用事を忘れてしまう。
  • 順序立てることが苦手。計画、片付け、時間管理が不得意。
  • 仕事などの課題をやりきることができない。
  • 約束や締め切りを守れない。課題を面倒くさがり、取り掛かれない。

 

[多動性・衝動性]

  • 貧乏ゆすりなど、絶えず落ち着かず、目的のない動きをする。
  • その場の空気を読まずに、思ったことをすぐに口にしてしまう。
  • 衝動買いをしてしまう。
  • 仕事や作業を順序だてて行うことが難しい。
  • 片付けるのが苦手。
  • 順番が待てない、相手が話し終える前に話し始める。

多かれ少なかれ、誰でもこうした傾向はあるものですが、ADHDの場合は、年齢に不釣り合いな、また度の過ぎた、不注意さや衝動性・多動性があり、日常活動や社会生活に支障を来す状態となります。

ADHDは、通常「不注意」「衝動性・多動性」といった特徴が表れますが、そのうち「不注意」は大人になっても残ることが多いようです。

ADHDの方は、ワーキングメモリー(作業記憶)の容量が少ないため、今聞いたことや頼まれたことなどを忘れやすく、また一度にたくさんの情報を処理することが苦手です。

そのため、忘れ物をしやすく、物をよく失くします。

財布や鍵を忘れて家を出たり、かばんなどを外出先に忘れてきます。

用事をしながら、メガネなどをいろんなところに置き、どこに置いたか分からなくなってしまうのです。

また、手間のかかる仕事には、なかなかとりかかる気がしないため、着手できずに先延ばしにしてしまう傾向があります。

期限から逆算し、計画的に時間配分をしたりすることが苦手なため「大急ぎでやればなんとかなるだろう」という考えから「まだ時間はある」と後回ししてしまいます。

ADHDは「過集中」という特性があるため、期限ギリギリになって追い込まれ集中力を発揮することがあります。

しかし、毎回期限に間に合うなど上手くいく事わけではなく、成功したとしても自分に大きな負担を強いることになります。

大人のADHD 二次障害

大人のADHD 二次障害

ADHDの特性がうつ病などに直結するわけではありません。

ADHDは不注意や衝動性といった注意や行動のコントロールが上手くできないという特性があります。

そのため生きずらさや、人間関係がギクシャクし、傷つき自分はダメだと思い込んで自信を失ってしまうのです。

ケアレスミスや、失言が多いといったADHDの特性を周りから理解されず、人から厳しく指摘されたり、また、自分でも特性をよく理解していないために「自分は何をやってもうまくいかない」と自分を責め、自分に対する否定的な感情が強くなってしまうことがあります。

そうしたことがきっかけとなって、抑うつ症状や不安症といった二次障害を生み出しやすくなってしまうのです。

大人のADHDに対する見方

ADHDの方はその特性から周囲が戸惑うような行動をとることがありますが、悪意から出た意図的なものや、本人の努力不足や何かを怠った結果でもありません。

大人になると「自分勝手な行動」「周囲の空気が読めない人」など誤解されてしまうことがあり、人間関係がギクシャクし自分を責めたりしてしまいがちです。

また、興味のあることには強く集中できるため「やればできるのに」「本当の力を出していない」と言われてしまうことがあります。

「怠けている」「やる気がない」と評価されたりして、自尊心が低くなりがちです。

しかし、ADHDの特性は、本人が努力すれば解決するものでも、コントロールできるものでもなく、どうしても起きてしまうものです。

脳機能の障害は、その人の意思でなんとかなるものではありません。

本人なりに頑張っていてもどうしようもできないのがADHDの特性なのです。

むしろ一生懸命に行っているのに周りから理解されないという状態なのです。

ですから、本人も周りもADHDの特性をよく理解することが大切です。

まず、本人が自分がADHDであることに気づき、自分を理解することが大切です。

そうすることにより、なぜ生きずらかったのか理解でき、心の負担が軽減され、自分に客観的になることができ、自己肯定感を高めることができます。

また、接する周りもよくADHDの特性を理解することにより、感情的に叱って傷つけてしまったり、ADHDの特性に振り回されるストレスが軽減されるかもしれません。

また、頑張っている点を褒めることにより、本人も前向きになり、自信をつけていくことができるよう助けることができます。

大人のADHD 治療

脳の機能の障害ということが分かっているため、薬によってある程度不注意や行動をコントロールすることができるようです。

薬を使うことで、ADHDからもたらされる負の特徴を抑え、本人も症状を自覚しやすくなり、生活しやすい環境を作ることによりADHDと上手く付き合いやすくなるというメリットがあります。

しかし、薬は一時的に自己コントロールの難しさを改善する助けにはなりますが、ADHDそのものを根本的に治療するものではないようです。

一時的な病気とは違って、慢性疾患のため一生付き合わないといけない特性と言えるものかもしれません。

ですから、ADHDの特性をを無くすというよりも、ADHDの特性をよく理解し、苦手とする状況と上手く付き合っていくコツを知り、探していくことが重要となってきます。

薬だけではなく、環境調整や心理、社会的な介入など取り入れることにより行動の改善を図ることも大切です。

あきらめずに根気よくケアに取り組むことにより、特性をコントロールし、本人も周りも心地よい日常生活、社会生活が送れるようになります。

大人のADHD 対処法

大人のADHD 対処法

まずは、少しでもADHDからもたらされる生きずらさを軽減するために、ADHDに対する正しい理解が必要です。

自分の苦手とすることを把握し、どう工夫すればカバーできるのか考えることも大切です。

忘れやすいという特性があるため、約束や予定を忘れないように、スマホのリマインダー機能を使うことができます。

一度に多くの情報を処理することが不得意のため、内容を理解できるように、指示は簡潔に少しずつ出してもらうようお願いすることもできます。

順序よく考えることが苦手なため、仕事の順位付けが分かるよう、仕事の手順を分けてチェックリストにするなど工夫をすることができます。

そして、重要なのは、見過ごされがちな長所、得意とする分野を知り、活用し発揮することです。

アイデア豊かな発想力を活かし、独創性のある企画力など才能を発揮することができます。

思いついたら実行するという瞬発力を活用できます。

苦手さばかりに目が行きがちですが、興味があることに対する集中力の高さや、体を動かす行動力といった、強みを活かしましょう。

また、周りの理解も大切です。

周りの理解や褒め言葉は、本人にとって自信をつけていく事ができる重要なサポートとなります。

それでも、本人も周りも困っている場合は、医療機関や専門家への相談も大切な方法です。

専門家ならではの助言や助けを与えてくれることでしょう。



大人のADHD まとめ

ADHDを抱えている方たちは、人知れず苦しみを抱えています。

是非、正しい理解と思いやりを持って接していきましょう。

そして、工夫次第でそうした苦しみや大変さを軽減できること、特性をカバーする処世術を探し身に付けることができます。

ネガティヴな所ばかり見るのではなく、特性を活かしその人らしさ、生き生きと輝けるものをともに探して行けたらいいですね。

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